部屋に置いたSwitchBot CO2センサー。(11月5日朝の表示は1,103ppm)
- 使用センサー:SwitchBot CO2センサー 温湿度計(購入価格 7,900円)
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この記事で分かること
- 10畳の部屋で、人数によってCO2濃度がどれくらい変わるか
- 1人で1時間に何ppm上がるのかを計算すると、実測とどう合うか
- CO2と頭の働きについて、研究ではどこまで分かっているか
- 植木鉢1個のCO2吸収は、部屋の対策としてどれくらい役立つか
設置したその日に、2,160ppmでアラームが鳴った
自宅の10畳の部屋にCO2センサーを設置したのは、2026年11月4日のことです。空気の状態を数値で見てみたい、という軽い気持ちで置いたのですが、初日から思わぬ数字を見ることになりました。
その日、部屋には4人が集まって、保険の計算について話し合っていました。話し合いが始まってから3時間ほどたった頃、センサーのアラームが鳴ったのです。表示を見ると、CO2濃度は2,160ppmまで上がっていました。
思い返せば、その頃には頭がオーバーヒートしたような感じがしていました。保険の計算はただでさえ頭を使う作業です。すぐに休憩を取り、窓を開けて換気しました。すると濃度は換気直後に800ppmまで一気に下がりました。その速さにも驚きました。センサーを置いた初日に、まさかアラームで換気のタイミングを教えられるとは思っていませんでした。

SwitchBotアプリの履歴グラフ(2026年11月4日)。最高2157ppmまで上がり、換気後は下がって、夜間にまた上がっている
換気直後は800ppm、寝る前には410ppm、一晩寝たら朝は990ppmだった
換気直後、濃度は2,160ppmから800ppmまで下がりました。その後も、寝る前まで窓を開けておいたら、410ppmまで下がっていました。外気とほぼ同じ水準です。その夜は、そのままこの部屋で寝ました。ところが、朝起きてセンサーを見ると、990ppmまで上がっていたのです。
締め切った部屋で1人で寝ただけでも、一晩で就寝前の410ppmから990ppmへ、580ppmも上がっていました。日中に大勢で話し合わなくても、寝ている間にもCO2は着実に増えるのだと分かりました。ここから、「1人だと1時間にどれくらい上がるのか」「そもそもCO2が上がると頭に影響があるのか」という疑問が次々に湧いてきました。
| 状況 | CO2濃度 |
| 2026年11月4日、4人で3時間の話し合い | 2,160ppm(アラーム) |
| 休憩して換気した直後 | 800ppm |
| 窓を開けておいて、寝る前 | 410ppm |
| その部屋で一晩寝て、翌朝 | 990ppm |
| 外気の目安 | 約420ppm |
計算してみたら、実測とほぼ合った
まず、1人で1時間にどれくらい上がるのかを計算してみました。10畳は約16.2㎡で、天井の高さを2.4mとすると、部屋の容積は約39㎥になります。座って過ごす大人が出すCO2は、1時間に約18リットルです。
部屋を完全に密閉したと仮定すると、計算では1時間に約460ppm上がります。寝ているときなら約390ppm、活動的に動いているときなら約510ppmという計算です。
ただし、実際の家には隙間換気があります。濃度が上がるほど外へ逃げていくため、どこかで上がり方が止まり、一定の水準で釣り合います。朝の990ppmも、この前提で考えられます。寝ているときの上昇は、完全密閉と仮定しても1時間に約390ppm相当です。それでも、窓を開け続けて下がった就寝前の410ppmから一晩寝ただけで朝には990ppmまで上がっていました。隙間換気で逃げる分があるため、密閉の計算ほど速くは上がりませんが、寝ている1人でも一晩でここまで上がる、というのが実測でした。
では、4人の場合はどうでしょうか。4人分の排出は1時間に約72リットルです。換気で1時間に部屋の空気が約1回分入れ替わる程度と仮定して計算すると、3時間後の着地点は2,100〜2,200ppmあたりになります。実測の2,160ppmとほぼ一致しました。理論と実測が合うと、あのアラームは偶然ではなかったのだと納得できました。
| 条件(1人・10畳) | 1時間の上昇(完全密閉と仮定) |
| 寝ているとき | 約390ppm |
| 座って過ごすとき | 約460ppm |
| 活動的に動くとき | 約510ppm |
※実際は隙間換気があるため、このペースで上がり続けるわけではなく、一定の濃度で釣り合います。
調べたら、1,000ppm前後から判断力が落ちるという研究があった
次に気になったのは、CO2が上がると本当に頭の働きに影響するのか、という点です。調べてみると、代表的な研究が2つありました。
1つ目は、Satishらによる2012年の研究です(ローレンス・バークレー国立研究所ほか、Environmental Health Perspectives掲載)。CO2だけを増やし、他の条件をそろえた実験で、600ppmと比べて1,000ppmでは意思決定テストのスコアが多くの項目で11〜23%下がり、2,500ppmでは44〜94%下がったと報告されています。換気が悪いときに一緒に増える別の物質ではなく、CO2自体の影響を調べた実験です。
2つ目は、Allenらによる2016年の研究です(ハーバード大学、COGfx研究)。約945ppmで認知機能のスコアが15%低く、約1,400ppmでは低いCO2条件と比べて50%低かったという結果でした。特に落ちやすいのは、危機対応、情報活用、戦略立案といった、頭をよく使う判断の分野だったそうです。
ただし、留保も必要です。どちらの研究も被験者は24人と小規模で、その後の追試では1,000ppm程度では効果が小さい、あるいは出ないという結果もあります。科学的に完全に決着した話ではありません。単純な作業より、複雑な計算や判断のほうが影響を受けやすい、というのがおおよその共通見解です。
安全面では、2,160ppmは労働環境の許容濃度である5,000ppm(8時間平均)より十分に低く、健康に被害が出る水準ではありません。日本のビル衛生の管理基準が1,000ppm以下とされているのは、毒性ではなく、快適さと仕事のパフォーマンスの観点からです。
保険の計算という、頭を使う判断作業をしていた時間帯に頭が回らなくなった感覚は、研究の傾向とも重なります。もちろん、その日の疲れもあったはずです。それでも、換気をして損はない、という結論には十分だと思いました。
植物に期待しすぎないほうがいい理由
もう1つ調べたのが、植物の吸収です。「植木鉢を置けばCO2が減るのでは」と思ったのですが、ここにも発見がありました。植物は昼に光合成でCO2を吸収しますが、夜は呼吸でCO2を出すのです。これは知りませんでした。新発見でした。
植物が正味で吸収する量は、その植物が育った分、つまり乾燥重量の増えた分にほぼ比例します。小さな植木鉢1個が1年に育つ分は乾燥重量で数十グラム程度ですから、CO2に換算しても年に数十グラムから100グラム程度のオーダーです。吸収しないわけではありませんが、グラム単位の世界です。
一方、人間は呼吸だけで1日に約1kg、1年では300kgを超えるCO2を出します。木のように大きく育つものなら話は別で、庭木や街路樹クラスで年間10〜20kg、スギ1本では年約14kgが林野庁の目安です。
| 対象 | CO2の量(目安) |
| 小さな植木鉢1個の吸収 | 年 数十〜100グラム程度 |
| 木1本の吸収(スギ) | 年 約14kg |
| 人間1人の呼吸で出す量 | 1日 約1kg/年 300kg超 |
つまり、人の呼吸分を植木鉢で相殺しようとすると、数千鉢が必要になる計算です。部屋のCO2対策としては、植物より換気が圧倒的に効きます。植物は空気をきれいにする主役ではなく、部屋に置く楽しみとして付き合うのがちょうどよさそうです。
アラームは1,200ppmに設定、鳴ったら換気する
今回の体験と計算、調べた研究を踏まえて、わが家の運用はシンプルにしました。このセンサー(SwitchBot CO2センサー 温湿度計)は、アラームが鳴る数値を自分で自由に設定できます。いまは1,200ppmに設定しているので、アラームが鳴ったら換気する。本日からわが家のルールにしました。
2,160ppmまで上がった当日のような状態になる前に、空気を入れ替えられます。
センサーのよさは、感覚だけに頼らず、数字でタイミングが分かることです。4人で集まって話すときは、あらかじめ少し窓を開けておくのもよさそうです。
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そして、次に測ってみたいのが車中泊の車内です。10畳の部屋でも、締め切って一晩寝ると就寝前の410ppmから朝には990ppmまで上がりました。車内は部屋よりずっと狭いので、寝ている間にCO2がどれくらい上がるのか気になっています。まだ車内は測っていないので、測ったらまた記事にしたいと思います。

試しに車内に持ち込んでみた(11月5日。この時点では424ppmで外気並み)。車中泊で寝たときの測定はこれから
出典・参考
Satish U. et al. (2012) “Is CO2 an Indoor Pollutant? Direct Effects of Low-to-Moderate CO2 Concentrations on Human Decision-Making Performance”, Environmental Health Perspectives, 120(12). ローレンス・バークレー国立研究所ほか。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3548274/
Allen J.G. et al. (2016) “Associations of Cognitive Function Scores with Carbon Dioxide, Ventilation, and Volatile Organic Compound Exposures in Office Workers”, Environmental Health Perspectives, 124(6). ハーバード大学 COGfx研究。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4892924/
スギ1本あたりのCO2吸収量(年約14kg)は林野庁の目安による。
