今回は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されている熊野古道を巡る、本格的な巡礼の旅に出かけてきました。秋晴れの10月下旬、快晴の空の下、朝7時から夕方17時30分まで、熊野三山と熊野古道伊勢路の馬越峠を巡るハードなスケジュールでしたが、とても充実した一日となりました!
今回のルート: 大門坂駐車場(7:00) → 大門坂 → 熊野那智大社・青岸渡寺 → 那智の滝 → 熊野速玉大社 → 神倉神社 → 道の駅海山 → 馬越峠(15:00〜17:20) → 道の駅海山 → 温泉
大門坂駐車場|なでしこジャパン記念モニュメントからスタート


朝7時、大門坂駐車場からこの日の巡礼がスタートしました。前夜はこの駐車場で車中泊して、早朝から出発です。
大門坂駐車場 基本情報
- 駐車場: 無料(約100台収容可能)
- トイレ: あり
- 標高: 84m
駐車場には、2011FIFA女子ワールドカップで優勝したなでしこジャパンの記念モニュメントがあります! 優勝の瞬間を刻んだパネルと、頂上には八咫烏(やたがらす)の像が飾られています。熊野那智大社で祀られている八咫烏は、日本サッカー協会のシンボルマークとしても知られていますね。
大門坂|樹齢800年の杉に囲まれた石畳の古道


駐車場から徒歩約3分(0.2km)で、大門坂の入口に到着します。
古来より、多くの参詣者たちを受け入れてきた熊野古道。大門坂は、その面影をもっとも色濃く今に残している場所です。
全長約500m、高低差約100mの苔むした石畳道と樹齢800年を超す老杉等に囲まれた古道では、古の関所跡や霊場への入り口といわれた「振ヶ瀬橋(ふりがせばし)」や夫婦杉などがつぎつぎと姿をみせます。

夫婦杉


石畳を登っていくと、まもなく現れるのが夫婦杉です。
2本の大きな杉の木が寄り添うように立っている姿は、まさに夫婦のよう。樹齢800年を超えるこの巨木に囲まれた石畳は、木漏れ日が差し込んでとても神秘的な雰囲気です。苔むした石段と巨木、そして朝の澄んだ空気が、ここが聖地であることを実感させてくれました。
多富気王子(たふけおうじ)


夫婦杉を過ぎて少し行ったところにあるのが、熊野古道中辺路にある最後の王子社、多富気王子です。
王子とは、京都から熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社、那智山青岸渡寺)に至るまでの旅路の中で、難行苦行の信仰の道をつなぐために設けられた神社のことです。熊野権現の御子神を祀る分社であり、旅の安全を祈願する場所でした。
熊野古道沿いの王子を総称して「九十九王子」とも呼ばれますが、この九十九とは実際の王子社の数ではなく、数が多いことの比喩表現です。
ここでしっかりとお参りして、この日の巡礼の無事を祈願しました。
商店通り
267段の大門坂を上りきると、ほどなくして車道に出ます。車道沿いには、飲食店やお土産屋さんなど疲れを癒すスポットがたくさん並んでいます。
このタイミングで寄るのもよし、先に熊野那智大社〜那智山青岸渡寺〜那智の滝まで見学してから戻ってくることも可能です。
熊野那智大社|1700年の歴史を持つ結びの聖地

商店街を抜けると、いよいよ熊野那智大社に到着です。
熊野那智大社は、熊野速玉大社、熊野本宮大社とともに熊野三山を構成する重要な神社で、世界遺産にも登録されています。那智の滝を御神体として崇める信仰から始まり、約1700年もの歴史を持つ由緒ある神社です。
463段の石段を一歩一歩登っていくと、朱塗りの美しい社殿が現れます。 社殿は6棟あり、それぞれに神様が祀られていて、その荘厳な雰囲気に圧倒されました。
主祭神の熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)は、結びの神様として知られていて、人と人との縁、願いごとを結ぶ御利益があるとされています。「結びの宮」として信仰を集めているのも納得の、神聖な空気が漂っていました。
境内にある御縣彦社(みあがたひこしゃ)では、三本足の烏「八咫烏(やたがらす)」が祀られています。八咫烏は熊野の神様のお使いで、良い方向へ導いてくれる「お導きの神様」として崇められています。
滞在時間: 約2時間
那智大社から那智の滝を望む景色は本当に絶景でした! 朱塗りの社殿越しに見える那智の滝の白い筋が、神々しくて心に残る光景です。この構図を見るためだけでも、ここを訪れる価値があると思いました。
那智山青岸渡寺|三重塔と那智の滝が織りなす絶景

熊野那智大社のすぐ隣にあるのが那智山青岸渡寺です。
青岸渡寺は天台宗の寺院で、西国三十三所観音霊場の第一番札所として知られています。熊野那智大社とともに、神仏習合の霊場として発展してきた歴史があり、世界遺産の一部として登録されています。
本堂は豊臣秀吉が1590年に再建したもので、天然木の質感を活かした素朴な造りが特徴的です。堂内には秀吉が寄進した日本一の大鰐口があり、歴史の重みを感じることができました。
本堂の裏手から見る景色が圧巻でした! 朱塗りの三重塔と、その背後にそびえる那智の滝が一枚の絵のように美しく調和していて、熊野を代表する絶景として多くの人々に愛されているのが分かります。この構図は写真スポットとしても有名で、何枚も写真を撮ってしまいました。

那智山裏参道〜飛竜神社|那智の滝を間近で体感


那智山青岸渡寺から那智山裏参道を通って、約15分で飛竜神社へ。
飛竜神社は那智の滝のすぐそばにあり、滝が目の前に迫る迫力ある位置に建っています。いくつかのパワースポットがあり、那智の滝の神聖なエネルギーを間近で感じられる場所でした。
那智の滝|日本一の名瀑を拝む

那智の滝は、落差133mという日本一の落差を誇る名瀑です。
古くから熊野の神々が宿る御神体として崇められてきた那智の滝は、その圧倒的な存在感で訪れる人々を魅了します。
お滝拝所(観覧料: 大人300円、中学生以下200円)まで進むと、滝の真正面からその雄大な姿を拝むことができます。水しぶきが舞い上がり、滝の轟音が響き渡る中で見上げると、自然の力強さと神聖さを全身で感じることができました。
白い水の筋が一筋、133mの高さから一気に落ちていく様子は、まさに圧巻の一言です。
那智の滝から大門坂駐車場までは、バスで戻りました。
熊野速玉大社|さざれ石と多くの神々が祀られる聖地



大門坂駐車場から約20km、車で30分で熊野速玉大社へ。
熊野三山の一つである熊野速玉大社は、熊野速玉大神と熊野夫須美大神を主祭神として、たくさんの神々が祀られている神社です。境内は朱色の社殿が美しく、厳かな雰囲気に包まれていました。
境内で特に印象的だったのが、国歌「君が代」に歌われている「さざれ石」でした! さざれ石は、小さな石が長い年月をかけて固まり、大きな岩となったもので、永遠の繁栄を象徴する縁起の良い石として知られています。実物を見ると、小さな石がぎっしりと固まった独特の姿に、時間の重みを感じました。








駐車場: 無料(30〜40台)
滞在時間: 約30分
神倉神社|538段の石段とゴトビキ岩


熊野速玉大社から徒歩約10分、神倉神社へ向かいます。
ここからが本番です! 神倉神社への参道は、538段の急な石段が待ち受けています。
この石段は「鎌倉積み」と呼ばれる自然石を積み上げた古い様式で、一段一段が不規則で急勾配。しかも石の一つ一つが大きく、足を大きく上げないと登れない場所もあります。登るのはかなりハードですが、一歩一歩踏みしめながら登っていくと、古の参詣者たちの苦労が偲ばれます。
石段を登りきると、ゴトビキ岩が姿を現します。高さ約45m、周囲約90mの巨大な岩が、まるで空から降ってきたかのように鎮座していて、神倉神社の御神体として崇められています。この巨岩の存在感は圧倒的で、自然信仰の原点を感じることができました。
滞在時間: 約20分
538段の石段は想像以上にハードでしたが、登りきった時の達成感と、眼下に広がる新宮市街と熊野灘の絶景は格別でした! 天気が良かったので、海の青さと街並みが美しく見渡せました。



道の駅 海山|休憩と車中泊の拠点
神倉神社から約57km、1時間30分のドライブで道の駅 海山へ。
ここでひと休憩。後ほど車中泊する予定の場所です。
道の駅 海山 基本情報
- 所在地: 〒519-3406 三重県北牟婁郡紀北町相賀1439−3
- 施設: トイレ、レストラン、物産館
- 駐車場: あり
馬越峠(熊野古道伊勢路)|美しい石畳の峠道

道の駅海山から徒歩約10分で、馬越峠の登山口に到着します。
馬越峠は熊野古道伊勢路の中でも、特に美しい石畳が残されている峠道として知られています。江戸時代に紀州藩によって整備された石畳は、今なお当時の姿をとどめています。
15時に登山開始。標準所要時間は片道約3時間20分です。
馬越峠トレッキング体験

石畳の道を登っていくと、鬱蒼とした杉林の中を進みます。足元は苔むした石畳で、一つ一つの石が丁寧に組まれているのが分かります。古の人々が、どれほどの労力をかけてこの道を作ったのかと思うと、頭が下がる思いです。
正直に言うと、結構思ったよりきつかったですね。 時間があまりなかったので急いで登ったこともあり、体力的にかなりハードでした。計画がちょっとハードスケジュールでしたね。
峠を越えて尾鷲側に下山。片道約2時間のトレッキングでしたが、美しい石畳と森の雰囲気を満喫できました。

【装備のアドバイス】
- 靴: ライトな登山靴がおすすめ
- 飲み物: 必須です! 自動販売機はありません
- 時間: 標準所要時間は片道3時間20分を見ておくこと(往復だと6時間以上)
尾鷲観光物産協会|心温まる親切に感謝
馬越峠を下りて尾鷲市街に到着したのは、17時20分頃。
実は、バスで道の駅海山まで戻る予定だったのですが、尾鷲観光物産協会でバス停の場所を聞いた際に、時間を調べていただいたところ、「もう最終のバスは出てますよ」とのこと。
15時から歩き始めたことを告げると、「それは、ちょっとハードスケジュールですね」と笑いながら、観光物産協会のとても素敵な女性の方が、即座に「お送りしますよ!」と声をかけてくださいました。
6.5km、約15分の道のりを車で送っていただき、無事に道の駅海山に戻ることができました。本当に感謝です!
尾鷲観光物産協会
- 住所: 〒519-3605 三重県尾鷲市中井町12-14
- 親切な対応に心から感謝いたします
このような温かいおもてなしに触れると、旅の疲れも吹き飛びますね。尾鷲の方々の優しさが、この日の巡礼をさらに思い出深いものにしてくれました。
温泉でリフレッシュ
道の駅海山に戻った後、17時30分過ぎに温泉へ向かいました。
10時間以上の長い巡礼で疲れた体を、温泉でゆっくりと癒しました。石段や峠道で酷使した足の筋肉も、温泉に浸かることでほぐれていきます。この日の疲れを洗い流して、心身ともにリフレッシュできました。
温泉を出た後は、道の駅海山に戻って車中泊です。
まとめ|熊野古道巡礼、ハードだけど充実の1日
朝7時から夕方17時30分まで、約10時間半にわたる熊野古道巡礼の旅でした。
今回のルート総括
- 総移動距離: 約80km以上
- 所要時間: 10時間30分(7:00〜17:30)
- 訪問スポット: 8ヶ所
- 石段: 合計1,268段(大門坂267段 + 那智大社463段 + 神倉神社538段)
- トレッキング: 馬越峠 片道約2時間
ハイライト:
- 樹齢800年の夫婦杉と苔むした大門坂
- 熊野那智大社から望む那智の滝の絶景
- 那智山青岸渡寺の三重塔と那智の滝の構図
- 君が代のさざれ石(熊野速玉大社)
- 538段の石段とゴトビキ岩(神倉神社)
- 美しい石畳の馬越峠
- 尾鷲観光物産協会の温かいおもてなし
正直に言うと、思ったよりハードでした! 特に神倉神社の538段の石段と、馬越峠のトレッキングは体力的にきつかったです。1日でこれだけ回るのは、かなりタイトなスケジュールだったと実感しました。
これから熊野古道を訪れる方へのアドバイス:
- 余裕を持ったスケジュールを: できれば2日間に分けるのが理想的
- 馬越峠は片道3時間以上: 往復だと6時間以上かかります
- 靴はライトな登山靴: スニーカーでは石段がきついです
- 飲み物は必須: 古道には自動販売機がありません
- バスの時刻を事前確認: 特に馬越峠からのバスは要チェック
- 早朝スタートがおすすめ: 暑さを避け、ゆっくり巡ることができます
しかし、世界遺産の熊野古道を自分の足で歩き、熊野三山を巡り、古の参詣者たちの信仰の道をたどることができたのは、本当に貴重な体験でした。

大門坂の神秘的な雰囲気、那智の滝の圧倒的な迫力、神倉神社から見下ろす絶景、馬越峠の美しい石畳、そして尾鷲の方々の温かいおもてなし。 すべてが心に残る、充実した巡礼の旅となりました。
また機会があれば、今度はもっと時間をかけて、ゆっくりと熊野古道を歩いてみたいと思います。
ではまた!


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