導入
足回り強化シリーズでは、オーリンズ・スタビライザー・リーフスプリング・トーションバーと順に紹介してきました。ただ、「なぜここまでやることになったのか」という経緯については書いていませんでした。
きっかけは、某タイヤメーカー店でのアライメント調整の失敗です。
事の発端:左傾斜への不安
当時、ハイエースにはオーリンズのショックアブソーバーとリアスタビライザーを導入済みで、走行上の問題はありませんでした。気になっていたのは、架装の重量配分の関係で車体が左側に若干傾いていたことです。
走りへの影響はないとわかっていましたが、「足回りに悪影響があるのでは」という疑問が頭から離れず、某タイヤメーカー店の店長に電話で相談しました。
返ってきた答えは「車を見ないと何とも言えないので、まずホイールアライメントの計測だけして現状を把握してみてはどうですか」というものでした。計測だけなら現状確認にとどまると判断し、10月20日(土)09:00に訪問する約束をしました。
そう思って、10月20日(土)09:00に訪問する約束をしました。
某タイヤメーカー店での「計測のみ」のはずが…
09:00に訪店。作業の流れを見たかったので「準備ができたら検査場で声をかけてほしい」と事前に伝えていましたが、いつまで経っても呼びに来ません。不審に思って検査場へ行くと、すでに作業が始まっていました。
「計測のみ」の約束だったにもかかわらず、許可なくトー・キャスター・キャンバーまで全て調整されていました。
昼前に作業が終わり「かなり狂っていたので調整しました。これで完璧になりました」と言われ、下回り防錆処理と合わせて36,000円を請求されました。約束した内容でも、許可した作業でもありませんでしたが、「完璧になった」と言われれば。。。仕方なく支払いを済ませて店を後にしました。
帰り道の異変
店を出て最初の角を曲がる際、足回りにグニャグニャとした違和感がありました。そしてメーターパネルに見慣れないランプが点灯しました。「ふらつき警告灯」です。
このとき初めて、ふらつき警告灯の存在を知りました。VSCそのものは知っていました。VSCとはVehicle Stability Controlの略で、カーブや急ブレーキの際に横滑りを抑えて車両の姿勢を維持するトヨタの安全システムです。VSCシステムがセンサーの異常を検知すると、警告灯が点灯してシステムが停止します。雨や雪道など滑りやすい路面で急ハンドルや急ブレーキをかけても、システムによる姿勢補正が一切働かない状態になります。
2017年製のハイエースはバンにVSCが搭載されておらず、ワゴンとコミューターのみの設定でした。安全性を考えてワゴンを選んだ理由の一つがこれです。ただ、警告灯があることまでは意識したことがありませんでした。
その安全のためにわざわざ選んだVSCの警告灯が、アライメント調整をしたばかりの某タイヤメーカー店を出てすぐに点灯したのです。急いで近くのトヨペットへ駆け込みました。
ふらつき警告灯はトヨタのメーカー専用パソコンで診断・消去できます。トヨペットで消去してもらい、そのままサイドスリップを計測すると、計測器からブザーと共に赤い警告灯が点滅しました。「これ、車検が通らないレベルですよ」。右前がおかしくなっていました。
取り返しのつかない失敗
再調整と、元に戻せない現実
トヨペットから某タイヤメーカー店の店長へ電話し、状況を報告して再調整を求めました。「調整前の数値に戻してほしい」と伝えると、「調整前のデータは記録していないので戻せません」という返答でした。
16時頃まで再調整が続きました。空腹でフラフラになりながら付き合いましたが、帰り道でやはりふらつきを感じました。後日、高速道路で試運転すると80km/h以上でふらつきが出て、危険を感じる状態でした。その後も何度か調整を繰り返しましたが、解消しませんでした。
最初の計測では基準範囲内だった右前のキャスターが、調整後から基準範囲内に収まらなくなったことも、この間に判明しました。足回りに損傷が生じた可能性がありましたが、確認できる状況ではありませんでした。
異音発生と補償
調整失敗から約5ヶ月後の3月下旬、下回りから異音が発生しました。4月10日に某タイヤメーカー店で点検しましたが、「原因不明」という結果でした。ふらつきも解消しないままです。
補償は、2回目以降の点検・調整を無料にするというものだけで、初回の調整料金の返金はありませんでした。
最終的な解決と総費用
ふらつきと異音の不安を抱えたまま、足回り強化を続けることになりました。
- スタビライザー前後
- UI-Vehicle オプティマリーフ
- UI-Vehicle トーションバー
合計約25万円(オーリンズ整備費7.2万円は別)。リーフスプリングを導入したあたりで、ふらつきが収まったように感じました。本当に改善したのか、慣れただけなのか、今も分かりません。アライメントは現在、車検が通るレベルまで回復していますが、調整前の状態には戻っていません。
なお、この某タイヤメーカー店はその後閉店しています。この件との直接的な因果関係は不明です。
この経験から
アライメント調整は、事故や走行に支障をきたす不調がない限り触らない。これがこの経験から得た一番の教訓です。「ちょっと気になる」程度の理由では、触らない方が安全です。
今回のトラブルには、問題が2つありました。一つは調整前データを記録していない運用です。「元の状態に戻してほしい」と言っても、データがなければ戻しようがありません。アライメント調整は不可逆で、一度変えると元の状態の完全な再現は困難です。もし調整を依頼する場面があれば、作業前に計測データを記録してもらうよう求めることが重要だと感じています。
もう一つは、車体の個体差を考慮しない「基準値内調整」です。基準値に収まっていても、その車固有のバランスが変わることがあります。ハイエースには個体ごとに癖があります。
「計測だけ」という約束が守られなかったことも、振り返ると重要な点でした。その場にいなければ、許可のない作業が進んでいても気づけません。ショック交換などの部品脱着と違い、アライメント調整は作業内容の把握が難しいです。
あのとき計測の依頼を断っていれば、この25万円は必要なかったかもしれません。
【関連記事】
